”グエンちゃん” という娘がいたんだとさ。
グエンちゃんは近所のお弁当屋さんで働いています。
今日も笑顔でお弁当を手渡してくれました。
グエンちゃんのお国はベトナム。昔、大きな星印の飛行機に、焼け野原にされた小さな村で生まれました。
グエンちゃんにはまだ幼い妹や弟がいます。
お父さんが死んでしまったので、お母さんを助けて暮らしを支えなければなりません。
グエンちゃんには夢が有ります。それはナースになって、お父さんと同じ病気の人達を助ける事です。
でも村には、働く所も学ぶ所も十分にはないのです。
ある日グエンちゃんは大きな決心をしました。
日本へ行って働こう、そしてお金をためて、きっと立派なナースになってみんなを助けよう。
グエンちゃんは知っていました。もっと昔、同じ大きな星印の飛行機に、同じように町を焼き尽くされた国のあることを。それでもくじけずに、みんなが歯を食いしばって働いた国のあることを。
グエンちゃんはニャチャンの浜辺からお舟に乗って日本へやって来ました。
波打ち際でみんなで抱き合って泣きました。ポケットの写真が涙で滲みました。
そしてグエンちゃんは今、近所のお弁当屋さんで働いています。
グエンちゃんには悲しい事がたくさんありました。
でも明るさだけは絶対に忘れまいと心に決めました。
だからグエンちゃんは今日も笑顔でお弁当を手渡してくれました。
グエンちゃん頑張れ~。
物事を一面からだけ見てはいけないことは分かっています。
でも、親の庇護の下、何不自由なく大学で遊んでいた若かりし頃の自分を振り返った時、
母国を離れ、言葉も不自由な異国の地で、懸命に生きる若い命を見るにつけ、
どうか彼らの未来に幸せあれと、願わずにはいられないのです。
(グエンちゃんがお弁当屋さんで働いていると言う事実の他は全て私の妄想です (;^_^A )